ゆきちゃんの世界
  * * * ポエム * * *
悪夢

大地は鳴動し 
人々は 地下を 逃げまどう 

のっていたエレベ−タ−は止まり 
かろうじて開いたドアから われさきに飛び出す 

壁は崩れ 天井は落ち くずれた土砂は人々を押しつぶす  
悲鳴のとびかう  阿鼻叫喚の世界 

私は子供の1人をかかえ 1人の手を引き 
後ろのほうで崩れ落ちている  うす明るいトンネルを 
ただひたすらに  かけぬける 

そしてエスカレ−タ−にたどりつき 
暗い中をのぼってゆく  いつのまにか人もふえてくる 

一転して  光あふれ 緑に輝く 山あいに出た 

たどりついた人々は   
その静寂の中 助かったことを感じて 安堵し  
その沈黙の中 たどりつけなかった人々を思い 悲しむ 

次々に 肩を支えあい  抱き合いながら  
人々が この安らぎの地にやってくる 
来た者は みな見つめるだけで  認識をかわす 

いく日かを経て  大地の鳴動がおさまり  静かになった時
私は地上におりたち  船着場より  船をこぎだす  
海の中には  海藻と見まがうばかりに髪をなびかせて
灰色の顔をした多くの人々 おりかさなって  ゆらめいている

世界は  うす明るく   沈黙の中で  息をひそめている  

全ては    終わった   

光と 闇との闘いにおいて
闇にとらえられたものは  息絶えた  
光に 導かれて  生きのびたものは   数すくない   


私が、詩をつくり始めたのは、地震の少し前ぐらいからです。 

地震の直前の、新年号に この”悪夢”をのせたので、後で予知夢だなんて言われました。   
又は、冗談にあんたが載せたから地震がおきたって人もいました。 

でも、その新年から神戸の町をみおろしながら、毎朝皆をめざめさせてください、なんて
柄にもないお祈りをはじめていたので、地震からは又ぷっつりと祈るのをやめました。

地震後は毎月の通信を地震報告に変え、冒頭にいつも詩をのせてきました。


ひとつ前へ ゆきちゃんの世界 ポエム 次へ


Copyright 2006 Spiritual Peace Musician Ikebe Yukie , All right reserved.